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2010年2月11日 (木)

快作にして怪作@『板尾創路の脱獄王』

本日氷雨の東京祝日ですが、仕事してます〜
というワケで、ちょっとあったまろーっと温泉で息抜き
このまえ当温泉でも触れましたが、ことし最も楽しみにしていた邦画『板尾創路の脱獄王』をやっと先日鑑賞。

面白かった〜。想像以上に面白かった。逆に、もっとしょーもなくても良かったのに、とすら(笑)
初監督作品で、これだけのクオリティ。
実は相当に緻密だなあ、板尾さん。確信犯。その幅広い才能、さらにマツヤマ尊敬っす

まず、監督、脚本、主演。という3役。これをこなしきっているのがスゴイ。
監督という面では、板尾氏と普段から親交のあるディレクターの山口雄大氏がサポートしたというが、主演も努めながらの監督業、この親密タッグマッチが成功していることが全編を通じて見て取れる。ふたりの間に信頼感があるからこそ板尾氏がアタマに思い描く世界観をここまで映像として具現化できたのだろうなぁ。絵づくりもかなり丁寧です。

また、なによりこの映画の企画自体、面白すぎる企画ももちろん「板尾創路」氏なのであるが、昭和の初頭、というクラシカルな時代背景のなかにいる伝説の「脱獄王」というアイデアからのこの展開。(実際、こういう人=脱獄を繰り返す人が日本に昔いたという事実はあったそうなので。)
彼はなんのために脱獄を繰り返すのか。(詳しく書くとネタバレにあたるので割愛しますが)彼の織りなす脱獄人生をこれまでにはない、まさに「板尾風エンターテイメント」に仕上げる、という骨子の楽しさは、板尾ファンの方のみならず多くの方にまんべんなく味わえるものだろう。シリアス感とユーモア、ファンタジーとリアリティの塩梅など、細部にわたっての作り込みや、緊張→弛緩の持って行き方=緩急をつけた脚本としての完成度もかなりのもの。飽きさせないテンポ、まんまマジにやれるところをあえて「はずす」その遊び心も愉快痛快。

また、監督としてのキャスティング力にも注目。脱獄王板尾氏と対峙するベテラン看守役に、実力派俳優「國村隼」氏を配しているのだが、脚本を書いている段階からこの役を國村氏想定で書いていた、というのも納得なほど、この役にぴったりと國村氏がハマっている。板尾氏演じる脱獄王、鈴木の内面を捕らえようとする執念の男、という微妙で難しい役どころ。ほかのメンバーはほぼ芸人という中で、國村氏は彼らに溶け込みつつ見事に自分のポジションを確立している。相変わらずうまいねぇ。
また、助演を努めている「芸人の方々」の使い方、あるいは演出が非常に巧み。普段から彼らの持ち味を俯瞰から冷静に見ているのだろぅなぁと思わせる板尾采配。千原せいじ氏、オール巨人氏など、ちらりと出てくる芸人さんらのどの配役にもうならされたが、特に「ぼんちおさむ」氏のスペシャル怪優ぶりを引き出した手腕には特に感嘆。そのほか、脇のすみずみにいたる若手のメンバーまで、板尾マジックに乗せられているからか芝居がうまい、うますぎる

そして、役者・板尾の存在感も相当なものである。以前是枝監督の『空気人形』の感想を書いたときにはペ・ドゥナさん主体で書いてしまったため、板尾氏の役者ぶりについては少ししか触れなかったが、あの映画の中の板尾氏もかなりヤバイ役者だった。あのように素敵な映画に出られたことでさらに演技力が磨かれたのだろうか。この映画では、ほぼ「無言」でひとことのセリフもないまま「主役」を努めていらっしゃる板尾氏。表情やたたずまいだけであれだけの表現力をもっていらっしゃることに改めて感服。また、堂々の大スクリーンで、何回か「板尾のアップ」があったのだが、アップが映えるんだなぁ。スペインとかイタリア生まれのハリウッド級の役者みたいに顔がすごいんだなぁ。

と、書こうとおもうといくらでも書けるんですけど。物語自体、ある種ミステリアス風味なので、この辺で。あんまり先入観をもたず、あらすじ、ネタバレ含む感想レビューなどまったく見ないほうが楽しい映画だと思います。とにかくワタシは終始「ニヤニヤ」と、ときに爆笑しながら、この映画を堪能しましたし、今も思い出し笑い。
Itaothumb

映画監督として松本人志氏と板尾氏を比べるような話もよく出ていますが、ワタシの中では、この「映画」という土俵では完全に板尾氏の圧勝(笑)
映画のHPにはタランティーノ、北野武、デビット・リンチ、ポン・ジュノにつぐ才能の誕生、というような言葉もありましたが、あながち大げさな表現ではなくまさに同じようなことを見終わったワタシは感じましたよ。
名前の挙がった4人の監督デビュー作品を最初にみた時のような「今までに見たことのないタイプの映画」だな、という感覚と、その「はじめて」のなかに秘められたポテンシャルの高さ。

板尾さんの名前の中に「創」というひと文字があることが、いまさらながら輝いて見えるようなクリエイティビティあふれる作品です。
板尾ワールドにご興味のある方はぜひ

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コメント

nokkyさんの韓国バナシ、楽しみにしてました。映画って「チョンウチ」と「義兄弟」でしょうか?いいなぁぁ。妹も変わらず彼の大ファンですが、ワタシ自身もこのふたつの映画、実は前からとても期待していて、もっとも今日本公開を待ちわびている韓国作品っす
また、くすくすニヤニヤの板尾ワールド。もしよかったら、ゆるーいキモチでお暇なときに

投稿: マツヤマジュンコ | 2010年2月12日 (金) 00時49分

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